承前
明け5歳になったガラン、ここまでの戦績は8戦4勝と立派なものです。ここからオープンですからそうそう勝てないわけですが。
昇級初戦、1800がベストとしても当分適鞍はなし、1600使うか2000使うかですが
安田隆調教師「レース後、次走は金杯を視野にとお伝えましたが、2月1日(日)東京の白富士ステークスに変更することになりました。1600m、それも開幕週の馬場で重賞でのペースだとリズムよく走れず、脚をためられない可能性がありますし先生、こういって1600の京都金杯から2000の白富士Sにしたんだよね。これをよーーーく覚えておいてください。
昇級初戦の白富士Sはミルコで3着でしたが次の大阪城Sに勝って5勝目、すぐ同期のゴラッソが名古屋大賞典で2つ目の重賞で6勝目をあげ、この頃はわが軍団では珍しく牡馬で二枚看板になってました。
ちなみにここまで5勝は池添謙一1勝、福永祐一2勝、北村友一2勝ですので、「一」のつく騎手でしか勝てないと言われたものです。
リステッド勝ったんだから次は重賞です。新潟大賞典は天敵子鮫Ⅱで6着でしたが鳴尾記念は5着、重賞でもあるいはというところを見せます。ここから恒例になる夏季休業を挟んで10月のカシオペアSに出ますが天敵パート2スグルで4着、勝てないまでも掲示板はゲットしていきそうです。その次のリゲルSが一つの分岐点、このマイル戦を机さんで3着したのですが、この後なぜか1600しか使わなくなります。
年明けて前年は2000がいいだろうと回避したはずの京都金杯にでて6着、以降マイルばかり5戦しますが掲示板に乗るのがやっとの成績、オープンで掲示板ですから悪い成績ではないですが1800で最も勝利を挙げている馬をなぜ頑なに1600で使うのか、結果が出てないなら違う距離を試しては?と思った次第。余談ですがこの先生、突然思考が固まる癖があるようでグラースも1200ばっか使ってました。
そんなこんなで1年が過ぎ明けて7歳、馬っ気はまだまだ健在でしたがどうにももどかしい成績が続く中2度目の分岐点、
安田隆調教師「京都金杯の出走は難しい状況ということで、中山金杯に目標を切り替えて調整を進めてきました。」中京の京都金杯が出走が難しいということで出走できる中山金杯に、強制変更でしたがやーーーっと1600以外の距離を走ります。先生はベストではない条件と言ってましたが、カナロア産駒ではあるものの昨今のレースぶりから1600より2000の方がいいのではといい続けてきた私も無論異存はありません。
結果
安田隆調教師「会員の皆様、本当におめでとうございます。遂にやってくれましたね。今朝、厩舎スタッフから『具合がすごくいい』と聞いていたので期待はしていたのですが、リステッドで善戦マンになっていただけに、ここまで強い競馬をするとは思ってもみなかったです。どちらかというと不器用で大回り向きと思ってましたからね。今まで見たことがないようなおりこうさんな競馬で見事勝利、ガラン7歳にして重賞初制覇の偉業を達成しました。マイラー安田隆行厩舎にとっても珍しい2000の重賞勝利です。
この後は強敵かハンデとの闘い、2200の京都記念は距離もあって6着、2年前に勝った大阪城Sはハンデもあって4着とまた「勝ちきれないガラン」に戻ってしまいますが「調子がいいので」と夏前に出走した新潟大賞典、時計の速い馬場、57.5キロの厳しいハンデでしたが…
安田隆行調教師「みなさんおめでとうございます。中山金杯に続いての重賞2勝目ですか。素晴らしい馬になりましたね。トップハンデのうえに外枠だったので楽な競馬にはならないと思っていましたし、実際に前半は外々を回されて厳しい競馬に。それだけにゴール前のひと伸び、頑張りには驚かされました。自称「この馬に初めて乗った」岩田神、見事なエスコートで重賞2勝目を挙げました。トップハンデも時計の速い馬場もものかわ、7歳にして重賞2勝ですからねえ。頭が下がる思いです(copyright岩田神)。しっかしホントわからない馬です。
なお、この勝利でついに7勝目、一口獲得賞金ではとっくにトップでしたが総獲得賞金でもG2目黒記念勝ちがあるオペラシチーを抜いてトップに立ちました。ゴラッソも目前で止まってしまい、この馬もななかなか次が勝てず「オペラの記録は抜けないだろう」と思ってたのですがね。
G3を57.5キロで勝ちましたからもうハンデのG3戦には出られません。勢いG2に挑むことになりますが札幌記念9着、京都大賞典9着のあと、突然の天皇賞挑戦、そして突然のダート変更でチャンピオンズC挑戦でしたが壁は厚く大敗、この2つの大敗で気持ちが切れてしまったのか年末の東京大賞典、年明けのAJC杯とらしくない競馬が続きます。
立て直してもうちょっとと思ってたのですが安田先生は「気持ちで走る馬が気持ちが抜けてしまってはしょうがない」と判断し急転直下引退が決まりました。
いつまでも走れるわけではないですし元気で引受先があるうちにというのも一つの道かもしれません。
生涯成績30戦7勝 総獲得賞金2億6706万円、募集総額2400万円ですから回収率は883.6%、回収率でもジェノヴァの737%を抜いてトップに立って3冠王になりました。
最初に一つ勝ったことで無理使いせずに来たことが最後に大きな花となったんだと思います。
爺さんになっても馬っ気全開で元気良すぎてジョッシュが「身の危険を感じたこともある」という馬でしたがちゃんと恩返しはしてくれましたよね。
もうとられちゃって乗馬の訓練を始めたころかと思いますが3歳から始まって足掛け6年、ホントーーーーーーーに長い間ありがとうございました。岡山まで会いに行くことはできませんが元気でな。
ちなみにドラ1だったレッドヴェイロンも同期の二枚看板ロードゴラッソもまだ現役でした。ゴラッソは明日レッドガラン様引退記念報知グランプリCで9か月ぶりに復帰します。